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心臓病の手術について

グレン手術(両方向性)

グレン手術とは、上大静脈(上半身の血液がもどってくる静脈)と肺動脈をつなぐ手術です。一般的には、三尖弁閉鎖症、単心室症、左心低形成症候群などにたいするフォンタン手術の前の姑息術として行われます。Dr. William Glennによってはじめられた当初は、上大静脈と右肺動脈をつなぐ手術でしたが、現在では、上大静脈が左右の肺動脈に流れるようにつなぐ「両方向性グレン手術」が行われることが一般的で、これを「グレン手術」とよぶ場合もあります。

生後、肺血流が少ない場合は、BTシャント術が行われ、肺血流が多い場合には、肺動脈絞扼(バンディング)術という肺血流をすくなくする手術が行われることが多いですが、グレン手術はその次の段階の手術となります。グレン手術を行わずにフォンタン手術をおこなうこともありますが、これは各個人の状態や、施設の方針によっても異なります。

多くの場合、グレン手術は人工心肺を用いて行われ、グレン手術のあとは、体の酸素飽和度はだいたい80パーセント前後になります。

血液の循環

↑の図は、単心室症、肺動脈閉鎖症の一つの例で、BTシャントによって肺への血流が保たれています。肺動脈への血液の流れに注目してください。

グレン手術の前のBTシャント術では、全身に回る血液のうち一つ分が動脈(鎖骨下動脈)から、肺動脈へ、人工血管をまわって流れていきます。すると、心臓は、↑の動画をみてわかるように、三つ分の血液を駆出するだけの働きが必要だということです。

↑の例では「全身をまわる血液は二つ、肺をまわる血液は一つ、心臓の働く分は三つ」となります。

次に、BTシャントを閉じて、グレン手術をおこなうと、上半身から帰ってきた青い血液は直接肺動脈へまわります。

グレン手術をすると、「全身をまわる血液は二つ、肺をまわる血液は一つ、心臓の働く分は二つ」となります。

つまり、グレン手術をすると、BTシャントのときより、心臓への負担が軽くなることがわかります。ただし、グレン手術を行うには、肺の血流がよく流れやすい(肺血管抵抗が低い)必要があり、通常は、生後3ヶ月以降におこなわれることになります。

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